■ はじめに:東南アジアの屋台に魅せられて
旅好きの女性なら、一度は惹かれる東南アジアの屋台。
あの香り、熱気、ローカルの笑顔。
台湾の夜市(ナイトマーケット)も、ベトナムのストリートフードも、
現地の“暮らしの味”を体験できる最高の場所です。
けれど、同じ「屋台」といっても、
衛生面や安全意識の差が大きいのをご存じでしょうか?
今回は、台湾とベトナムの屋台を「安全性・清潔さ・味の多様性」から比較し、
旅先で安心して楽しむコツをお伝えします。

■ 台湾の屋台文化:行政と市民がつくる「安心の味」
台湾の夜市は、台北・台中・高雄など全国にあります。
一見カジュアルですが、実は行政の衛生管理がとても厳しいのが特徴です。
台北市では、屋台営業には自治体の「衛生検査」合格が必須。
さらに、営業者は食品衛生講習を受ける必要があり、
油の使い回しや未冷蔵保存などが定期的にチェックされます。
こうした仕組みのおかげで、
台湾では食中毒の大規模事故がほとんど報告されません。
観光客も安心して食べ歩きができるため、
世界中の旅行者に「清潔で安全なストリートフード」として支持されています。
たとえば、
- 胡椒餅(こしょうまん)
- 大鶏排(巨大フライドチキン)
- 魯肉飯(ルーローハン)
どれも高温でしっかり火を通す料理が多く、
衛生的にも比較的安全です。

■ ベトナムの屋台文化:生活の一部だからこそ見えるリスク
一方、ベトナムの屋台は日常の延長線上にあります。
台湾が「行政が整備した観光向け屋台」なら、
ベトナムは「生活者の台所そのもの」。
ホーチミンやハノイの路上では、
朝からフォーやバインミーを出すおばちゃんたちの姿が見られます。
その素朴さが魅力でもあり、旅人にとっては最高の“エスニック体験”。
しかし同時に、衛生基準のバラつきも大きいのが現実です。
WHOや現地メディアの調査でも、
ベトナムでは年間数千件規模の食中毒報告があります。
原因の多くは、
- 常温保存の食材
- 生野菜やハーブの洗浄不足
- 再利用油の酸化
といった“日常的な管理不足”です。
特に高温多湿の気候の中では、
調理後2〜3時間で食材が痛むこともあり、
観光客の胃腸には刺激が強すぎることもあります。

ベトナムで発生する食中毒の代表格バインミー(画像はイメージです。食中毒の発生するような露店ではありません)。
■ 旅行者目線での比較:台湾は「安心して楽しめる」、ベトナムは「慎重に選ぶ」
| 比較項目 | 台湾 | ベトナム |
|---|---|---|
| 衛生管理 | 行政の監督あり、定期検査も実施 | 店ごとにバラバラ、個人管理中心 |
| 屋台の種類 | 観光・エンタメ寄り | 生活密着型 |
| 食中毒リスク | 低い | やや高い(特に生野菜・ソース) |
| 観光客への対応 | 明朗会計・整列文化 | 交渉・現地語対応が多い |
このように、
台湾は“安全に楽しめるエンタメ屋台”、
**ベトナムは“文化体験型のローカル屋台”**という違いがあります。
決して「ベトナムが危険」という意味ではなく、
現地事情を知ったうえで選ぶことが大切なんです。

■ ベトナムの屋台を安全に楽しむコツ
旅ライターとして何度も現地を歩いてきた筆者が、
自分の経験からおすすめしたい「安全に食べるコツ」を紹介します。
- 火を通したものを選ぶ
揚げ物、炒め物、煮込みなど、加熱がしっかりされている料理を。
フォーやブンチャーは安全度が高めです。 - 混んでいる店を選ぶ
回転率が高い=食材が新しい。
地元の人が並ぶ屋台は信頼できます。 - 水や氷に注意
生水やローカル氷は避け、ペットボトルの飲料を。 - 香草・ハーブは控えめに
洗浄が甘いことがあるので、少量にとどめる。 - 食後の体調変化を感じたらすぐ薬局へ
現地では整腸剤・抗菌薬が薬局で簡単に入手可能。
我慢しないことが大切です。
■ 台湾・ベトナム、どちらの屋台も「文化」を味わう場
最終的に言えるのは、
どちらの国の屋台も人々の暮らしを映す文化そのものだということ。
台湾の夜市は、安心・清潔・エンタメ性。
ベトナムの屋台は、素朴・ローカル・エネルギッシュ。
旅行者として大事なのは、
「違いを知って、安全に楽しむ意識を持つこと」です。

■ まとめ:安全だからこそ、味わいが深くなる
台湾の屋台が人気なのは、美味しいだけでなく「信頼できる」から。
ベトナムの屋台が魅力的なのは、日常の中に人の温かさがあるから。
そして、どちらも“食の多様性”を伝えてくれる貴重な存在です。
旅の食体験は、リスクを知ってこそ本当の味に出会えます。
あなたも次に屋台に立つときは、
少しだけ衛生の目線を持って、美味しく安全な一皿を選んでください。
