台湾を旅して感じるのは、年々上がる宿泊料金の高さです。
台北ではビジネスホテルでも一泊2万円を超えることが珍しくなく、高雄でも人気エリアは満室続き。
けれど、古都・台南だけは少し違います。
1万円台でデラックスホテルに泊まり、贅沢な空間と静かな時間を楽しむ――
そんな“ゆとりの旅”が、いまもこの街では可能なんですね。

台南の街並みに漂う穏やかな時間
台南の朝は、どこか懐かしい香りに満ちています。
豆乳スープを売る屋台からは湯気が立ちのぼり、古い町家の屋根に朝日が優しく差し込みます。
通りを歩くと、ゆっくりと開店準備をする商店の姿。時間が少しだけ、柔らかく流れているように感じます。
台北の喧騒とは違い、台南には生活と旅が自然に溶け合うような穏やかさがあります。
歩くたびに、どこからか漂う香ばしいお茶の香りや、オートバイの音に混じる笑い声が、心をほっとさせてくれます。
シャングリ・ラ台南で味わう上質な癒し
「シャングリ・ラ 台南遠東国際大飯店」は、台南駅のすぐそばにそびえる五つ星ホテル。
重厚なロビーに足を踏み入れると、心地よい香りと静けさが迎えてくれます。
部屋の窓からは台南の街並みが一望でき、夜にはオレンジ色の街灯が穏やかに灯ります。
このホテルの魅力は、華やかさの中にある“落ち着き”です。
ベッドの肌触り、カーテン越しに差し込む朝の光、そしてスタッフの穏やかな笑顔。
一泊1万円台からとは思えないほどの上質な時間が、旅の疲れをそっと包み込んでくれます。

シルクスプレイス台南で出会うモダンと伝統の調和
もうひとつ、台南を代表するデラックスホテルが「シルクスプレイス台南(晶英酒店)」です。
ここは、台南の伝統文化とモダンデザインが見事に融合した空間。
館内には地元作家のアートが飾られ、照明は柔らかく、足音さえも心地よく響きます。
客室には木のぬくもりが漂い、窓の外には台南孔子廟の屋根が見える部屋も。
朝食には、ローカルフードの担仔麺や豆花が並び、まるで“台南の食文化”をそのまま味わっているような満足感があります。

古都に息づく文化と物語
台南は台湾で最も古い都市。
オランダ統治時代の名残を残す安平古堡、そして鄭成功ゆかりの史跡が今も大切に守られています。
通りを歩けば、祈りの香が漂う廟の前で、老夫婦が穏やかに手を合わせている姿。
その一瞬の静けさが、この街の深い歴史を物語っています。
暮らしの中に宿る“台南らしさ”
台南の人々は、ゆっくりと生きることを大切にしています。
市場で果物を売るおばあさんも、カフェで珈琲を淹れる青年も、どこか柔らかな笑顔をしています。
「急がなくても、今日の太陽は同じように昇るからね」と、あるタクシー運転手が笑って言いました。
この街には、余裕があります。
その穏やかさが、宿のもてなしや街角の雰囲気にも自然に現れているのです。

台南で見つけた“贅沢のかたち”
台南のホテルは、豪華さを誇るのではなく、静けさと心地よさを大切にしています。
シャングリ・ラ台南の深い安らぎ、シルクスプレイス台南の温もりある美しさ。
どちらも、価格以上の“豊かさ”を感じさせてくれます。
宿泊料金の高い台湾にあって、台南は今も旅人にやさしい街。
1万円台で泊まれるデラックスホテルで、朝の光とともに目覚め、ゆっくりとした一日を過ごす。
その穏やかな時間こそが、台南が教えてくれる“本当の贅沢”なのかもしれません。
